星月夜この惑星に生命(いのち)継ぐ 徹
この句を作ったのは平成17年で、黛 執先生の「春野」に入会した直後の「ちとせ句
会」での出句だったと覚えている。句会で先生に採られてうれしかったという覚えがある。
「星月夜」とは秋の新月の頃の星空の美しさをたたえたものと歳時記にはある。私の好き
な季語で私の句集のタイトルにもしてみた。
高校生の時に数学者のガロアの伝記を読み、20歳のガロアが数学の重要な証明をしたが、
その直後に革命家として決闘に倒れたというくだりには、身震いを覚えた。「私はこの問題
を証明できたが、もうそれを書き残す時間はない。」という文章を残して。私はまず数学者
になりたと思ったが、その後の私の数学の成績は芳しくなく、数学者への道は諦めた。次に
考えたのは、地質学者であった。当時の少年は昆虫か鉱石ラジオにあこがれたようだが、私
は化石少年であった。
しかし大学に進学したのは、意外にも農学部で、ここで「生物学」と遭遇することになった。
これは医学部に入学できず、農学部に回された結果であった。しかし意外にもこの選択は大成功
で、「生物学」という素晴らしい学問と終生付き合うことになった。「生命」は地球上で38億年
もの壮絶な環境の変化を「進化」という素晴らしい手段によって、ずっと継続して存在し続けてい
るのである。
地球上の生命は偶然に海底で誕生したと考えられている。現在では地球外にも生命の存在が取りざ
たされているが、とにかく地球上で「生命」が存在していることが大事なのだ。宇宙へのヒトの展
開が取りざたされているが、地球という環境で進化してきた生物が、地球外で快適な生活が容易に
できるとは思われない。それよりも勝手に汚してしまったこの地球環境を元に戻すことが先決だ。
挙句はふと星空を見上げた時に、この地球以外には生命は存在せず、生物はこの小さな地球上だけ
で営々と命を継いでいるのだということを切実に感じたことを句にしたものだった。地球上での生
物の存在は小さいがきわめて重い。
