先日、鎌倉にお住いの平松礼二画伯に、表紙と裏表紙とが私の水彩画の「澁声徹語」を思い切ってお送りした。これは、この本を周囲の方々にお送りしたところ、意外にも好評だったので、旭丘高校の同期で町立湯河原美術館の名誉館長であり、湯河原でもたびたびお会いしている平松画伯にもと思ったわけである。
独特の万年筆の字で、ご返事の葉書をいただき恐縮した。平松画伯は、独特の色遣いと細密な日本画で、一度日本から西欧に渡った浮世絵風の絵画様式を、再び日本の美術に取り入れておられる。これは「平松ジャポニズム」と言われる独自の画風であり、町立湯河原美術館に「平松礼二館」を持っておられる。
平松画伯は、その芸術性をフランス政府からも高く評価され、モネのアトリエがあったジベルニィーのモネ美術館で、モネとの共同展覧会を2回ほど開催されている。これは日本人の芸術家としては大いに誇るべきことで、画伯の絵画が、芸術の国フランスで立派に認められているという証しであろう。
彼は多数の自作の絵画を湯河原美術館に寄贈されており、美術館ではその中からテーマを作っては、一年中展示している。美術館には彼のアトリエもあり、以前は平松画伯と来館者とが直接会話をすることも出来た。アトリエには、彼の習作途中の絵もあり、また溶いて乾いた絵具皿などが、たくさん展示してある。
平松画伯からは「澁声徹語」を大層ほめていただいき、高校で同期だった、「大鐘稔彦氏」と並べて評論されるという光栄に浴した。もっとも水彩画についてはノーコメントであった。ちなみに大鐘氏は京大の医学部出身の著名な外科医で、「高山路爛」のペンネームで、「孤高のメス」などのベストセラーを書いておられ漫画にもなった。お二人は高校の柔道部で共に汗を流した間柄であるという。
最近、平松さんは、湯河原のさまざまな名所を描き、町民からの投票で「湯河原十景」を選ぶという企画が行われた。私は水彩画をやっているので、これらの作品を参考にさせていただいきたいと思っている。画伯のスケッチからして、とても素晴らしいと思う。優れた画家はスケッチからして違うのである。
美術館モネの睡蓮白五つ 徹 (7/17/20)