• 2024年5月16日 11:50 AM

環境エピジェネティクス 研究所

Laboratory of Environmental Epigenetics

続澁声徹語 第38回 「ネパール」

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ネパールは好きな国だが、残念ながらまだ1度しか行ったことがない。それは1968年のことで、インドでの国際遺伝学会の機会に4日間滞在したに過ぎない。ニューデリーからの飛行機がカトマンズの飛行場に到着するやいなやガイドにつかまり、運転手付きのトヨタの中古車とのネパールの3人旅であった。

 1日目はカトマンズの市内をありきたりの観光をした。途中で河のほとりのガンガで死体を火葬しているのも見たりした。遺族らしき人達が、悲しみを浮かべることなく談笑していたのが印象的であった。日本で予約したホテルはカジノも付いており、高級だったようだが、水道の濁りは帰るまで澄むことはなかった。

 ガイドに、ヒマラヤの山を見たと告げたら、アンナプルナが見える200㎞奥まったポカラに行くことになり、カトマンズのホテルは一晩でキャンセルした。延々と国道らしき道や川沿いの道を遡上して、途中で汚い店で昼食をとったりしたが、意外においしかった。ポカラに着き、私だけがホテルに泊まった。そこには大きな湖があり、アンナプルナIVが白く輝いていた。

翌朝、一人で散歩をしていると一人の子供が近寄り、「ハッシッシを買わないか」といったのでびっくりしたが、もちろん断った。すると「米ドルを持っていないか」と又聞いてきた。子供がこんなことをやっているのはやはり心泣いたむことだった。あのヒマラヤの雄大な景色にはあまりにもそぐわなかった。

昨年、「ネパールの教育を支援する会」という組織に入った。会長に素直に安いネパール観光も目的です」と言ったら笑っていた。そういえば、以前、おそらくヒマラヤで遭難した方の母親が、子供たちにノートなどの文保具を配っている現場に遭遇した。しかし、子供たちは我先と文房具を奪い合い、とうとうノートは破れてしまった。Kの時の母親の困惑した顔を今でも覚えている。

実は、昨年8月に「ヒマラヤを空から見る」というオプション付きのツアーがあり、安かったので申し込んでみた。しかし、当然ツアーは昨今のコロナ騒ぎで中止された。いつか是非ヒマラヤの峰々を空から眺めてみたいと思っている。  
     冬晴やアンナプルナに雲流れ  徹  (01/05/21)