• 2024年5月16日 9:22 AM

環境エピジェネティクス 研究所

Laboratory of Environmental Epigenetics

第48回「特急踊り子号」

 これまで40年以上走りつづけてきた「特急踊り子号」が、この3月のダイヤ改正からやっと車両が更新されることになった。旧型のE185系車両は、昭和時代からの遺物であり、窓は小さく、それが開くことが珍しい車輛であった。以前には灰皿を取り外した跡がはっきりと認められた車両も多くあった。

 「踊り子」いう、名前にははじめはなじめなかった。東京から伊豆に向かう準急には、これまで「伊豆」や「あまぎ」といういい名前がついていたからである。勿論、川端康成の「伊豆の踊子」から命名したものであろうが、何だか安っぽく、ヘッドマークの踊子らしき若い女性の顔も、どうも好きになれなかった。

 これからは「踊り子」は新型のE257系に置き換えられ、ヘッドマークも“ODORIKO”となる。すでに昨年の3月からより高級な車両の「サフィール踊り子」が1往復運航している。しかし折からのコロナ禍で、余り乗客は多くないようである。今回の新造車両も幸多かれと祈りたい心境である。

「踊り子」は東京などから東海道線を南下して、熱海で下田行き、三島で修善寺行きとなって、伊豆の東西の温泉地を目指す。いつか三島駅で小柄な女性の運転手が待機していて、さっそうと運転席に着いた。伊豆箱根鉄道の駿豆線(修善寺行き)を走るので、その会社の運転手に交代するのだ。そういえば三島駅から駿豆線への乗り入れのために、ホームが少し削ってあるのも妙にいじらしい。

伊豆箱根鉄道といえば、小田原からの大雄山線もある。JR小田原駅の3番ホームから見ると、大雄山線から東海道線の貨物線に接続できるようになっている。これは伊豆箱根鉄道の車両検査の時に、車検場は駿豆線の三島の先の大場にあるので、その電車を電気機関車で牽引して運ぶための線路である。一度是非その現場を見たいと思っているが、なかなかお目に掛かれない。

先日、昨年登場した新型の「踊り子」に乗ってみた。散歩で湯河原駅まで来たら、下田行きの「踊り子」が止まっていたので、伊東まで乗ってしまったのだ。どういう訳か検札にはあわず、特急料金を支払うことはなかった。
細き雨やむことのなし杢太郎忌 (木下杢太郎は伊東出身) 徹 (03/13/21)