• 2024年5月20日 6:32 PM

環境エピジェネティクス 研究所

Laboratory of Environmental Epigenetics

第23回「北海道大学」

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 北海道に行くたびに、北海道大学(北大)を訪れている。札幌駅からは歩いてもすぐであり、樹木の多い広々とした構内は、いつ行っても素晴らしいと思う。日本の大学の環境としては最高である。北大のことを書き出したのは、やるかどうかは分からない、オリンピックのマラソンコースが北大の構内を通過しており、その中でも「七曲り」が勝負のカギであると新聞に書かれていたからである。

北大には、名大の同じ研究室の後輩三人が教授になっており、そのうちの一人の渡辺智正先生は獣医学部の教授を経て農学部の教授であった。有名な染色体研究施設の教授になった人も二人おり、一人は女性であることは頼もしい。黒岩さんと言われるが、私は面識がない。この研究室は動物染色体研究の魁である牧野佐二郎先生が創設された、世界的にも由緒ある研究室である。ここからは染色体研究の学者を数多く輩出し、日本の染色体研究の総本山の研究室であった。

松田洋一先生は、ここの教授だったが、母校の研究室の衰退を憂い、名大の教授になられ、業績を挙げ今年3月に退官された。松田先生は「鳥類バイオ研究室」の開設で、ここに移られた。私の博士論文のテーマの「ニワトリCreeper遺伝子の発現機序」を見事に解明された。この遺伝子の表現型は、ヘテロで短脚、ホモで致死となることで、以前から興味深い表現型として知られていた。解明されたことは、Creeper遺伝子は、DNA損傷修復遺伝子と骨形成遺伝子が近接して存在しており、その間の領域の幅広い欠失がその原因であったのである。

私が研究したのはもう50年以上も前で、こんな結果は予想だにしていなかった。それでも、当時は最先端の技術であった、胚の「軟骨細胞の旋回培養」で遺伝研の黒田先生にご指導をいただいた。しかし、当時は遺伝子の解読をすることは不可能であり、いわば遠巻きに研究を続けているような有様であった。

話が北大から離れてしまったが、以前北大を訪問したときに、小さな川が蛇行して流れており、かってはサケが産卵に回帰して来たとの案内があった。こんな自然がまだ大学構内に残っているなんてとてもすばらしいことだと思う。しかし、長いアイヌ語のその川の名前ももう忘れてしまっている。
      北大に鮭帰る川深き杜    徹     (09/11/20)