• 2024年12月13日 9:57 PM

環境エピジェネティクス 研究所

Laboratory of Environmental Epigenetics

第 45回 「仙台・東北大学」

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 仙台の町はそれほどなじみがあるわけではないが、好きな町である。何と言っても、あの壮大なケヤキ並木が素晴らしい。私は大きな街路樹が毎年のようにバッサリと刈り込まれるのを見るに忍びない。たしかに、おおきな木に枝を切ることはよく見られるが、あれでは木がかわいそうである。

 そこへ行くと仙台のケヤキ並木は毎年手入れされているのだろうが、見た目には分からない程度で、好ましいと思っている。年末になるとこれに照明器具が付けられ、夜になると耀く様子は、一度しか見たことがないが素晴らしかった。もっとも木にとってはこれを甚だ迷惑に思っているかもしれないが。
 
 私の名大大学院時代の恩師 F先生は、教室内の人事がこじれた後に、東北大学に転出された。私はひそかにその門下に入ることを期待したが、年齢が近いことなどもあり、それはかなわなかった。一度先生に請われ「食品の安全性」の話をさせていただき、素晴らしい牡蠣をごちそうになった。先生の最終講義は知合いを集めて農学部(旧制二高)で伺ったが、これも最近青葉山に移転したらしい。

 東北大学での先生のご研究対象は魚類であった。そういえば先生の研究対象は、ショウジョウバエ、ウィルス、ニワトリ、魚類と次々と変わっていった。日本の研究者でこのように研究対象を変えた例はそれほど多くはないと思う。遺伝・発生学の世界では、「ショウジョウバエのだれだれ」、「カイコのだれだれ」、「マウスのだれだれ」などその研究対象がトレードマークとなっている。

 東北大学は私が勤めていた安全センターでは大きな学閥のようであった。所長だったH先生やO先生は医学部の薬理学の子弟関係であり、また薬学部出身者も多かった。センター創設時代の石館先生、岩原先生の衛研のラインはこの流れはこれにとっては変わられ、私もいろいろな面で割を食うことが多かった。

仙台で好きなのは、伊達政宗像からの仙台市街である。仙台城址には天守閣は残っていない。ある時に城址を歩いたことがあるが、進んでゆくと巨大な石垣群が並んであり、壮大だった仙台城を偲ぶことが出来、伊達一族の繁栄を偲べた。
     松島の島それぞれに秋の月   徹   (02/20/21)