• 2024年6月17日 9:09 AM

環境エピジェネティクス 研究所

Laboratory of Environmental Epigenetics

設立趣意

   この研究所設立を決意した大きなきっかけの一つは2019年農薬Roundupがラットに、「Epigenetic Transgenerational Inheritance(ETI) : エピジェネティック継世代遺伝」を誘発したことが報告されたことにあります。これまで遺伝学・発生学では、哺乳類の生殖細胞ではその配偶子形成過程で、すべての「細胞記憶」は消去されるものと考えられてきました。「ETI」は、これまでの毒性物質には認められてこなかった、まったく新規の毒性事象です。このことは、これまでのように、「がん」や生活習慣病などの疾病の原因を体細胞だけで求めるのではなく、生殖細胞のエピジェネティックな異常を含めて捉えなおす必要があるものと考えられます。
さらに、既知の変異原物質の中にも「エピジェネティック活性」が続々と報告されつつあります。今後、多くの化学物質、とくに環境ホルモン作用を示すものに関して解析し、その結果を総合的に考察することで、化学物質による「発がん性」をはじめとする、さまざまな毒性作用機序の解明も可能になるものと考えられます。これは「毒性学におけるパラダイムシフト」となりえます。
また、「エピジェネティク変異原物質」の中には、DNAやヒストンの修飾などの「エピジェネティック変異」を正常に復帰できる化学物質も知られており、それらを医薬品として利用できる可能性もあります。それらを検索して、有効利用するなど、「環境エピジェネティクス」は将来新しい大きな展開も期待できます。
しかし、「エピジェネティクス」は、生物学・医学における新しい研究分野であり、特に環境科学である「環境エピジェネティクス研究」にはまだ研究者も少なく、各分野での有機的な連携を図りダイナミックに推し進めていく必要があります。また、その成果を広く社会に広めていくことは、われわれのもう一つの重要な使命と考えています。
 この研究所では、大学や企業の各研究室の橋渡し役として調査報告を請け負っていきたいと思います。また、医療関係、食糧生産などの現場の方々には最新の情報を提供していく活動も行っていきます。
 どうかよろしくお願いいたします。